大阪の仕事人:水なす漬け−−中岡清晃さん(70)、靖昭さん(34) /大阪
 ◇ぬかで自然発酵、自慢の味

 既に「全国区」となっている泉州の特産・水なすは、中元シーズンが出荷のピーク。さまざまな業者が味を競う中で、貝塚市津田北町の水なす工房「よさこい」は、化学調味料・保存料に頼らず、ぬかの味を存分に生かす伝統製法を守る数少ない「水なす浅漬け」として、人気を集めている。

 2代目、中岡清晃さん(70)が厳しい目を光らせながら、パートなども含め14人がすべて手作業。水なす1個ずつを丁寧に塩もみして、ぬか入り袋に詰め込み、自然発酵させる。「単純なもん」と言うが、塩もみ加減、ぬか床へのこだわり、漬け込んで2〜4日目の絶妙のタイミングの発酵が、自慢の味につながる。

 初代、竹長さんが、1950年に飯屋として「よさこい」を創業。高知の「よさこい節」とは関係なく、「お客さん、ようさん来い」との願いからの命名という。献立に添えていた水なす漬物が評判で、それを食べたさに来る客も。徐々に漬物の持ち帰り希望が増えて、既製の箱や袋に入れて販売するようになった。そして02年、水なす製造・販売部門を新たな「よさこい」として独立。販路も広げ、今月23日から大丸ピーコックの15店舗でも販売される。ピーク時には1日2000個もの出荷となり、作業は午前1〜2時にも。

 「多くの業者は、スーパーなどで広く売ってもらうため、品質が一定するように発酵を抑える処理をしている。一方うちは、あくまでも自然発酵が命。まさに酵母の生きた水なすを提供していて、賞味期限だけでなく、『食べごろは□日〜○日』と明記している」。3代目の靖昭さん(34)は、品質に自信を見せる。

 もちろん材料にもこだわって柔らかい「絹皮水なす」のみを使用し、「水なす工房」「絹浅漬」の名称を商標登録出願中。清晃さんが「泉州一の品質」と太鼓判を押して契約する石垣忠一さん(61)は、丹精込めた栽培にとどまらず、わらを混ぜ太陽熱で処理するなど土づくりからこだわり、約3600本を育てる。「種まき、接ぎ木まで自分でやる農家は、ほとんどなくなった。暑いなかで地獄のような作業だが、うまい水なすを作り続けたい」と石垣さん。手にしっとり、はりつくようで「赤ちゃんの肌のよう」。

 先代から「わしが死んでも、この味覚えとけ」と言われた味を、清晃さんは息子とともに守り続ける。「へんこ」な性格を自認して「タイもヒラメもナスも、食べごろを外しちゃいかん」。【嶋谷泰典】

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 ◇府の認証第1号

 水なすは、江戸時代初期から泉州南部で栽培され、夏場の農作業の合間にのどを潤したとされる。手で絞ると水分が滴り落ちる。大阪府が特産品として認証する「Eマーク商品」第1号となり、現在は66の水なす漬け事業者が認定されいている。府によると、岸和田以南の05年産水なすの出荷量は約3224トン、栽培面積は約41ヘクタール。地元では今も家庭で浅漬けし、「うちのオカンのが日本一」という人も多いとか。「よさこい」本店は0724・37・4351。URL=mizunasuyosakoi.com

毎日新聞 2007年6月21日
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