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甘いぬか漬け 食うていきやなにわ こだわりの味 「よさこい貝塚商工会議所店」(貝塚市=水ナス)暑い。とにかく暑い。こんなときは「うまい水ナスのぬか漬け」が無性に食べたくなる。水ナスといえば泉州。なかでも、発祥地とされる貝塚市に、願いをかなえてくれる店があると聞いて訪ねた。 「まぁ、食うていきや」。貝塚商工会議所の1階に構えた店舗で、3代目の中岡靖昭さん(35)が、お目当ての「水なす定食」を出してくれた。ぼってりとした水ナスのぬか漬けが5切れと、ごはん、うどん、焼きザケ、コロッケ。見るだけで腹が膨れるが、水ナスにはしを伸ばすと――。 藍(あい)色の皮は美しく、白い果肉がぎっしりと詰まっている。おろしショウガをのせ、しょうゆを垂らしてかじる。みずみずしい果汁が口中にあふれ、ほんのりと甘みが残った。一切れ、もう一切れ……。食欲がわき、熱々のご飯をかき込んだ。 中岡さんの祖父、故・竹長(たけちょう)さんが、同市津田北町に定食屋を開店したのは1950年。父の清晃さん(71)が94年にここを本店とし、貝塚商工会議所店をオープンした。2人の背中を見て育った中岡さんは、大阪市の老舗料理店で修業したあと地元に戻り、水ナスを加工、販売する「水なす工房」を本店内に開設。「料理を通じて貝塚の文化も発信したい」との思いからで、今春、本店隣に新装した。 水ナスは、泉州特有の湿り気の高い土壌で、契約農家が丹精込めて栽培している。収穫直後はマスクメロンのように甘いといい、赤ちゃんのほっぺたに例えられるほどすべすべとした果菜を一つ一つ、工房の従業員がたっぷりと塩でもむ。 天然素材だけを使用したぬか床に漬け込み、3、4日。それより早ければ味が薄く、遅ければ濃すぎる。発酵の加減を調整するために、ぬか床の塩分を控えてうま味調味料などで“味付け”する業者もいるというが、自然発酵にこだわる。 泉州では「最高の水ナスは、うちの母ちゃんのぬか漬け」と言われるほど、庶民の暮らしに根付いており、地元の客がほとんどの本店では一年中、単品(367円)で提供。市外からの客が多い貝塚商工会議所店では、約3年前から、水ナスが旬の時期に定食を用意している。 中岡さんは注文を受けると、水ナスを手で裂き、器に盛る。修業した店では見栄えを良くするために包丁を使うのが普通だったが、泉州では「包丁で切れば味が落ちる」と伝えられているからだ。 「漁師の船で食べる取れたての魚には、どんな高級料亭の味もかなわないでしょ。地元の一番おいしい味を知ってほしいんです」と中岡さん。気取らず、構えず――。そんな作り方、食べ方が、水ナスにはやはり一番似合うのだと、教わった。(米井吾一) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 貝塚市二色南町4の7貝塚商工会議所1階(電)072・438・4351(23日の問い合わせ先は、水なす工房072・437・4351) 営業時間 午前11時〜午後4時 定休日 水曜 メニュー 水なす定食(840円)は3〜9月限定。水ナスは全国発送もしており、ぬか漬け、液漬け各3370円(6個、送料込み)など。 (2008年7月23日 読売新聞) |